【アジャイルソフトウェア開発宣言】番外編「クルーシャル・カンバセーション」
Anycloud PdMの青木です。
前回、アジャイルソフトウェア開発宣言における「プロセスやツールよりも個人と対話を」について考えました。
対話を通して、目的意識を持って価値創造しよう!となったのですが、
意見が食い違った時の対話ってよくあることですよね…
そこで今回は番外編として、「クルーシャルカンバセーション」についてまとめてみました!
クルーシャル・カンバセーションとは?
「重要な結果」「反対意見」「強い感情を伴う」二人以上で行われる話し合い(=対話)のことです。
この概念は、ケリー・パターソン氏らが著した
『クルーシャル・カンバセーション――重要な対話のための説得術』
(原著『Crucial Conversations Tools for Talking When Stakes Are High, Second Edition』)
の書籍の中で扱われています。
GitLab社では、下記のように書かれていました。
a conversation to be crucial is that the results of it could have a huge impact on the quality of your life. A conversation involving a promotion, performance, debate between coworkers, etc. 対話が重要であるということは、その結果があなたの人生の質に大きな影響を与える可能性があるということである。昇進、業績、同僚間の議論などに関わる対話。
参照: https://handbook.gitlab.com/handbook/leadership/crucial-conversations/
Handbookにも書かれているぐらい重要としているのがわかりますね。
ただ現実問題、うまく対処できていない…
クルーシャル・カンバセーションに対する行動パターンは大きく分けると3つあります。
- 避ける
- 取り組むが、適切に対処しない(できない)
- 適切に対処する
ただ大半の人がとる行動は、1か2だそうです…
なぜ、うまく対処できないのか?そもそも避けてしまうのか?
大きく分けると下記3つです。
- 体の反応して、感情的になってしまうため
- いつの間にか起きているケースが多く、準備不足やその場で話し合い、解決する必要があるため
- どうすればいいかわからないため
自分も感情的になったり、どうすればいいかわからなくなったりとこれまでの経験でいくつもあります…
対話で大事なこと
共通の目的を持ち、
自由で率直に意見を出し合うことです。
異なる意見やアイデアも受け入れられる環境では、
より良い決断が生まれやすく、
相乗効果により新しいアイデアが引き出されます。
結果として、
全員が納得できる独自の解決策が導き出され、
実行への確信が強まります。
対話における「話をする・聞く」ポイント5つ
「本音を探る」「観察する」「安心させる」「新しいストーリーを創る」「プロセスを告げる」の5つを意識しましょう。
本音を探る
まず「自分が心から望んでいること」を整理し、
対話する目的を明確にします。
次に「望まないこと」もはっきりさせ、
不必要な対立を避ける意識を持ちます。
これにより、対話での賢明な選択が可能になります。
自分を直接コントロールできるのは自分だけです。
対話がうまくいかない原因としてよくあるのが、
感情的になってしまうことです。
対話する本来の目的も常に意識することで、
冷静さを保ちましょう。
観察する
クルーシャル・カンバセーションは、
いつの間にか起きると言いました。
そして、建設的でなくなり、
相手への反発や感情的な反応が増幅されることで、
対話がますます困難になることがあります。
こういった悪循環を断ち切るためにも、「観察」が必要になります。
ここでは2つの観点を紹介します。
- 話し合いが重要な局面に差し掛かっていないか
- 肉体的なサイン
- 例:胸が締めつけられたり、目が乾いたりする
- 感情的なサイン
- 例:怯えたり、腹を立てたりする
- 行動的なサイン
- 例:声を荒げたり、黙り込んでしまったりする
- 肉体的なサイン
- 安全性が損なわれていないか
- 沈黙(自分の考えや気持ちを追加しようとしない)
- 暴力(自分の考えや気持ちを強引に押し込もうとする)
安心させる
対話の安全性には
「共通の目的」と「相互の敬意」が必要です。
観察した結果、安全性が欠けていると感じたときは
一旦距離を置き、次の3つを実行してみましょう。
- 明らかに敬意を欠いた場合は謝罪する
- 自分の意図を正確に伝えて誤解を解消する
- 共通の目的を再確認し、お互いにとって最善となる解決策を一緒に考え、対話を再開する
相手への敬意を忘れずに、
共通目的のために対話することを心がけましょう。
新しいストーリーを創る
自分の感情をコントロールすることは、
前述の内容を実行するために重要です。
感情は自分自身が生み出し、
事実への「解釈」(ストーリー)が感情を生み出します。
感情をコントロールするには、
まず自分の行動や感情に気づき、
無意識に作った解釈(ストーリー)を分析・修正することが大切です。
そのため、行動プロセスを遡り事実に戻ったり、
建設的な感情を生むストーリーを意識的に創ったりしましょう。
プロセスを告げる
最後は、伝えづらいことを伝える上で
意識したいフレームワークを紹介します。
プロセスを告げるフレームワーク(STATE)
- 事実を共有する(Share your facts)
相手の感情を害さず、説得力が増すため、まず事実に基づいた情報を共有します。
- 自分の解釈を伝える(Tell your story)
事実をどう解釈しているかを説明し、相手に安心感を与えます。
- 相手の視点を尋ねる(Ask for others' paths)
相手にも自身の視点を話してもらうよう促し、誠実に聞きます。
- 仮説として話す(Talk tentatively)
自分の意見を一つの解釈として提示し、対話の余地を持たせます。
- 反応を引き出す(Encourage testing)
異なる意見を安心して話せる場を作り、対話を促進します。
まとめ
クルーシャル・カンバセーションのスキルは、
日常の対話から仕事での交渉まで、
多くの場面で役立つものです。
特に意見が対立しやすい話題やデリケートな会話において、
感情的にならず、冷静に対話を進められる力は、
信頼関係を築くために欠かせません。
このスキルを磨くことで、
自分と相手の視点を尊重しつつ、
より建設的な結論を導き出すことができるでしょう。
皆さんが、実生活でも少しでも
この考え方を活かしていただけたら嬉しいです。